洗腸によって排便に費やす時間が減って、
自分の時間が増えました

長谷川奨くんは、生まれつき両足があぐらをかいた状態になっており、両足の感覚もなく動かすこともできませんでした。小学 4 年生頃に両足を切断して足の骨を脊椎に移植しています。排便は曜日で決めていて、主に日水金の夜に便を出しています。排尿は1 日 5 回自己導尿をしています。自己導尿は自分で、排便は少しご両親に手伝ってもらいます。主治医の堂本先生との対談形式でご自身の排便管理についてお話いただきました。

幼少期から今までの排便管理はどのようにされていましたか?

幼少期は主に浣腸をしていました。2日に1回浣腸しておりました。

下剤等で便の硬さを調節していました。浣腸は効くまでに時間がかかり、しばらくチューブをおさえなければいけませんでした。そして、おさえるためにオムツの中で排便していました。そのため、排便後の処理があって、とても大変でした。

洗腸はトイレでできるようになったので、処理はそこまで大変ではなくなりました。
また、おさえる時間以外にも、お腹が痛くなるので、時間が結構かかってしまっていました。その時間がもう少し減ったらなという悩みがありました。

最初に「洗腸」を知ったときは、どのような印象でしたか?

今まで浣腸がメインだったので、洗腸と聞いてもあまりイメージができませんでした。名前も似てますし、違いという違いはあまり分からなかったです。

むしろ、洗腸は水を入れるだけですので、やっぱり下剤を調整する方が効き目としては良いのではないかなとも思ってました。

でもやってみることに損はないというか、ダメだったらダメだったで、浣腸に戻せばいいと思っていたので、挑戦はしてみようかなと思いました。浣腸で悩みがあったので、挑戦してみて、その悩みが解消できるのかなと少し思いました。

実際に洗腸を実施していますが、どのような工夫をされていますか?

おしりが小さくて便器に座れないため、自分を担当の理学療法士さんに作ってもらったオーダーメイドの便座を使用しています。本来の便座は穴が大きいですが、これは穴をすごく小さくしてお尻の穴が出るぐらいのマットの穴に乗っかり、前の方には三角のような穴が開けもらい、そこから手を入れることで、洗腸をできるようにしています。(写真を参考にしてください)

カテーテルの挿入時では、自分ではおしりが見えないので、親に手伝ってもらっています。だいたい 1 回につき、水は300から400ml ほど入れています。1回の実施につき、今は30 分程かかっています。

洗腸を開始してから、どのように排便の変化がありましたか?

浣腸の時と比べて、主に便漏れが少なくなりました。浣腸の時は学校で、休日だと家でたまに便が漏れてしまうことがありました。洗腸だと腸の奥の方まで流してくれるので、便漏れはあるのですが、少なくはなりました。定期的に奥の方まで出してくれるので便も昔は硬かったのですが、柔らかくなって、出しやすくなりました。日によりますが、便が出きったと感じる日も結構あります。

硬い便で肛門のあたりの荒れや出血などは、浣腸の時より減りました。でも完璧になくなったわけではないです。

少し想像と違ったことや不満などはありますか?

最初は洗腸のイメージが湧かないと言ってたんですけども、特に想像と違ったことはありませんでした。自分が今までやってきた浣腸よりは、洗腸の方が便が柔らかくなり、時間が短縮されることで日常の時間が少し増えて、自分的にもすごくありがたいなと感じるようになりました。ただ、洗腸でも先ほど言ったように、出終わったと思う時があっても、その次の日に便漏れが多少はあるので、学校とかで出てしまうと、学校では処理がしにくいので、特に困ることがあります。

洗腸について、現在の状況を教えてください

今は以前よりも多くの便が出て、今言ったように便漏れはまだあるのですが、前の浣腸よりは減ったので、だいぶ良くなったと思います。

また自分で体内に水を入れることができるようになったので、今までのように親に浣腸で押さえてもらう必要がなくなりましたので、親の負担としても減ったのかなと思います。

自分が使っている洗腸器具ではバルーンが膨らむのでカテーテルをおさえる必要がなくなったのと、排便まで待つ時間がないため、その分の時間が少し空いたのかなと思います。あとは30分ほどのその洗腸時間のうち、初めの10分ほどで腹痛は治るので、その他の残り時間で自分のやりたいこと、例えばトイレの中で英単語を見るとか、そういうことができるようになりました。

なので、僕的には自由の時間が増えたっていう点で浣腸よりも洗腸の方がすごく楽になったので、洗腸の方が僕個人的には適しているのかなと思いました。

排便管理でお悩みの方々へメッセージをお願いいたします

僕自身の体で僕自身の意見なんですが、浣腸よりも洗腸の方がやりやすいとは思いました。でもその他の排便方法に慣れている方々は、変えるというのはそうそうできることではないので、無理に変える必要はないのかなとは思います。

でも僕が挑戦したように、試せる機会があるのであれば、試すこと自体はやってみるのはいいのかなと思います。以前試していた方法と、洗腸の両方を使ってみて比較して、どちらがやりやすかったかっていうのを自分で感じた上で、自分に適した方向っていうのを選んでもらえればいいかなと思いました。

主治医の堂本先生からのコメント

鳥取県立中央病院小児科の堂本と申します。

私はこのような治療の専門家ではなく、偶然この治療法を知って、患者さんにお勧めしたところ、やってみたいということで一緒に手探りでこの治療を開始しているところです。情報が少ない中、試行錯誤してるのが現状です。なかなかこの治療法に巡り合う機会が少ない患者さん、また地域柄この治療法ができる医療機関がなくて困っておられる患者さんと医療機関の方々がおられるかなと思いますので、ぜひこのようなご意見を参考にしていただいて、排便管理の1つの選択肢として、考えてみるきっかけになっていただきたいと思っております。

インタビュアー :鳥取県立中央病院 小児科 堂本友恒 先生

プロフィール

長谷川 奨

16歳/高校生

現役高校生(2024年5月現在)、趣味は主にスポーツで、車椅子バスケをやっていたり、土日はゲームをしたり高校生らしい生活を送っている。