自分の生活をより安心させるために
排泄管理を変更しました

A子さんの現在の排泄管理方法は、排尿では親水性コーティングカテーテルを使用し、排便では経肛門的洗腸療法を行っています。高校生になってから、排泄管理の自立にも繋がり、外出先における排泄の不安が軽減され、生活の質が向上しました。今は高校生活を楽しみながら、大学受験の勉強に集中しています。
自己紹介と現在の排泄管理について
今年齢は17歳で、病気は二分脊椎です。高校生です。
排尿は、自己導尿をしていて、親水性コーティングのカテーテルを使用しています。自分で導尿する前にはネラトンカテーテル(潤滑剤を使用する使い捨て型のカテーテル)を使用していました。学校に行くようになり、今のカテーテルはゼリー(潤滑剤)を塗らなくてよいのと手順が簡単で、狭い場所でも使いやすいので、物心がついて自分で導尿するようになってからは、親水性コーティングのカテーテルを使っています。自分の中では普通のことになっています。ただ、在庫がなくなりそうなときにはネラトンカテーテルを使うときもあります。
普段からカテーテルを使って導尿しているので、トイレの時間が長くなっているのではないかと気になりますが、看護師さんからは早い方だと言われて安心しました。
排便は、今は経肛門的洗腸療法を行っています。
今の排尿と排便の方法に変えてからは、準備が簡単になったので、特に外出先で使用しやすくなりました。導尿カテーテルはコンパクトで、洗腸セットはポーチに入っているため持ち運びがしやすく、修学旅行などの宿泊時の排泄の不安が軽減しています。
今までの排便管理について
最初は浣腸から始まり、小学校4年生のときに肛門ストッパーを用いた逆行性洗腸で排便管理をしていました。昨年の夏ごろから、経肛門的洗腸療法に変更しました。
それまでの浣腸と洗腸は、準備から挿入まで全て親にサポートしてもらっていました。なので、逆にあまり大変な思いはしていなかったです。中学生くらいからは、たまに洗腸で使用していた肛門ストッパーを自分で押さえる練習はしていました。経肛門的洗腸療法に変わってからは、全て自分で準備から操作までを行っています。練習していた甲斐があり、スムーズに自分でカテーテルを挿入できました。2日に1回の洗腸で、自分でスケジュール管理をしています。たまに忘れたり疲れたりしてできないこともあるので、その場合には翌日行うなど、適宜調整しています。
具体的な経肛門的洗腸療法の使い方について
以前の洗腸だと、お湯を入れる袋を高い場所に吊り下げなくてはいけなくて、その操作を自分で行うことが難しかったです。経肛門的洗腸療法は、お湯を入れるウォーターバッグを床におけるので、準備が簡単です。2日に1回、準備から片付けまで、大体1時間くらいの時間をかけて洗腸しています。洗腸の時間自体は、前の方法とあまり変わっていません。最初はバルーンカテーテルを使って洗腸していたのですが、お腹の中で割れたことがあり、怖くなってしまい、今はコーンカテーテルを使っています。洗腸中にコーンカテーテルを押さえる必要はあるのですが、問題なく洗腸出来てきています。バルーンが割れる心配がないので、安心して使っています。たまにカテーテルの脇から水漏れすることがありましたが、持ち方を変えてから改善しました。最初は中指と薬指の間でカテーテルを支えていましたが、人差し指と中指に変えて持つことで、安定したように感じています。

写真は実際に指導された皮膚・排泄ケア認定看護師の石川靖子様です
身体的な変化について
経肛門的洗腸療法に変えてから、学校で便が漏れることはなくなりました。あとは自分の気持ち的な問題かもしれませんが、お腹が痛くなって学校を早退する頻度が劇的に少なくなりました。今まで1か月に1〜2回あったのが、今は半年に1回あるかないかに減りました。洗腸をするときに、ポンプを押すタイミングで一気にお湯が入るような刺激が、お腹に良い気がします。
排便管理を経肛門的洗腸療法に変えてみようと思ったきっかけ
3年くらい前に両親が日本二分脊椎症協会の会報誌に掲載された記事を読み、その内容を教えてもらって、経肛門的洗腸療法を知りました。高校を卒業する前までには使ってみたいと思いました。できれば慣れた病院で試したかったので、いつも通っている病院で教えてもらうことが出来て良かったです。
自己導尿カテーテルの種類を変えたきっかけ
これも、日本二部脊椎症協会の会報誌がきっかけのようでした。丁度自己導尿のときに私がいつも「硬くて痛い」と言っていたようで、両親が親水性コーティングカテーテルの記事を読んだ後に病院に相談し、ちょうど当時はサンプルがもらえたので、試すことが出来ました。使ってみたら痛くなかったので、今に至ります。
同じお悩みを抱えている方へのメッセージ
周りと比べて、なんで自分だけこうなんだろうと思うこともあるけれど、自分の生活をより安心させるために今の方法があるわけで、出会って良かったと思っています。全てに利点はあります。新しい方法を試すときには怖さはあるけれど、意外と慣れるので、大丈夫でした。
もし、同じようなことで不安になっている方がいたら、「意外と大丈夫だよ」と言いたいです。トイレのことだけでなく、他にも自分がやりたいと思ったことには、どんどん挑戦していきたいです。
インタビュアー:北海道立子ども医療・療育センター
皮膚・排泄ケア認定看護師 石川 靖子 様
プロフィール

匿名希望(仮名:A子さん)
17歳/高校生/二分脊椎
大学受験を控えている女子高校生です。